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 ニューロサイエンス学位プログラムHP
 募集要項:博士前期過程
      博士後期課程

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動物やヒトを対象に神経経済学の研究を行っています。神経経済学には神経科学,経済学,心理学の知識を用います。興味のある方は、h-yamada_at_md.tsukuba.ac.jp へご連絡下さい。筑波大学です。博士前期・後期課程の研究指導担当教員となっています。twitter: @Hiroshi12337131

卒業生

卒業生:田尻涼(2014, 医療科学類)、今泉優理(2018, 医療科学類)久保木亮介(博士論文指導(神経科学)2022、現武田薬品工業)

2009/09/03

神経経済学はどこへ向かうの?

近年、fMRIを用いることにより人間の脳活動(正確には血流量の変化)が観察できるようになり、人間の消費行動の脳内メカニズムの研究が盛んになった。経済学的視点に基づいて行われる神経科学を神経経済学(Neuroeconomics)と呼び、新たな学際的領域として研究がスタートしている(神経経済学の定義はいろいろあると思うが、例えばVikipediaは:http://en.wikipedia.org/wiki/Neuroeconomics)

経済学で古くから知られているリスクや不確実な結果を避ける(Ambiguity Aversion)等、様々な人間の経済学的活動に関する特徴に関する脳機能が、次から次へと調べられている。技術的な問題があることは横に置き、研究がもっと進んでいったら、いったいどのような未来につながるのだろうか?

現在、応用として始められているのは、賛否両論あるもののニューロマーケティングがすぐに思い浮かぶ。じゃあ、経済学に基づいた社会の制度設計が神経経済学の発展に伴って変更されるなんてこともあるんだろうか?話は飛ぶけど、例えば金融。外貨預金をする時にシティーバンクで必要なリスク許容度の評価があるけど、評価基準が変わったりするんだろうか?そもそも、リスク許容度って、損失が膨らんだ状態になって初めてわかるもんだし、事前に聞いたって真の値は得られないよね。ブラックマンデーとかサブプライムローンとか、予測したり予防できるようになったりするんだろうか?神経経済学によって?

現在、神経経済学は基本的に個人を対象にするものであるので(個人の脳活動の大きさと行動の相関とか、グループレベルの解析では15人くらい)、すぐに制度設計に直結するものでもないと思うけど、神経科学の知見が集積されることで経済理論の修正につながるような大きな発見があれば、それは制度の改変につながるのだろう。全然話は違うけど、薬物依存症だってその脳神経基盤とその悪性がわかってきたからこそ、その規制がしやすいって面はあると思うし。
そもそも、現行の社会制度だって人間の特性を検討して作られているんだと思うけど(制度設計の基本については何もしりませんが)、神経科学としての裏付けが明確に得られれば、制度変更の有効性を断然議論しやすくなると思う。またまた脱線するけど、例えば日本の研究費の審査・分配制度なんて批判にあふれていて、でもその割に簡単に変わるとは到底思えない。そもそも制度設計って誰がやってるものなんだろうか?政治家?官僚?

ミクロ経済学を勉強し始めた神経科学者としては、将来どんなことになるのかとても楽しみです。でも、勉強不足で疑問だらけ。経済学者で神経科学に興味のある方の意見を伺ってみたいです。

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