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 ニューロサイエンス学位プログラムHP
 募集要項:博士前期過程
      博士後期課程

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動物やヒトを対象に神経経済学の研究を行っています。神経経済学には神経科学,経済学,心理学の知識を用います。興味のある方は、h-yamada_at_md.tsukuba.ac.jp へご連絡下さい。筑波大学です。博士前期・後期課程の研究指導担当教員となっています。twitter: @Hiroshi12337131

卒業生

卒業生:田尻涼(2014, 医療科学類)、今泉優理(2018, 医療科学類)久保木亮介(博士論文指導(神経科学)2022、現武田薬品工業)

2009/10/27

選択

選択は、予算集合と選好理論を用いて記述することができる。つまり、
 消費者は、”予算の範囲内で最も選好する商品(財)の組み合わせを選ぶ”

テクニカルには、予算線と接した無差別曲線上の点が、選ばれる。

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強化学習と比較して考えると、強化学習ではソフトマックス(シグモイド関数)を用いて、価値の低い選択肢を選ぶ行動の割合を状況に応じて調節するが(環境の変動を考慮しているため、探索行動が必要になる)、ミクロ経済学では、嗜好は一定だとされており(端的に言えば、学習は考えない)、常に価値の最も高い商品の組み合わせを選ぶ。ランダム効用理論を用いれば、強化学習と同様に低い価値の財を選ぶ行動も説明される。

では、いったい脳の中でどのように選択が実現されているのか?これは、最も難しい問題の一つだと思われる。何故かというと、選択に関与する単一の責任脳部位は今のところなさそうだし、選択の計算メカニズムが、強化学習や経済学で仮定するような単純なものかといえば、そうとも思えない。そもそも、選択の過程を観察可能なのだろうか?シグモイド関数のような神経相関が見つかれば、それは選択なのだろうか?また、現状の神経科学の知見から考えると、選択に関与する脳の回路は複数あると考えるのが妥当なんではなかろうか?

膨大な情報処理の結果として起こる単一のOutput(選択行動)を、どうやって説明するのがもっとも妥当なんだろうか?知識の不足のせいかわからない。

2009/10/10

神経科学における数学の重要性

神経回路としての計算原理が明らかとは言えない現状で、脳機能を調べるにあたって数学(計算論的アプローチ)が重要である理由は、数学を用いることで他の研究との比較が容易になり、結果を一般化しやすいことが上げられると思う。

ある変量の効果を調べるには、その変量を操作した群を最低2つ作れば仮説が検証できる。したがって、必ずしも数式で結果を説明する必要はない。しかし、脳科学においては、その他の様々な要因が脳活動に影響するので、実験デザインを変更すると結果が変わるのことが多い。すると、結局その結果はケーススタディーでしかなくなってしまう。

一方、脳活動を数式から求められる連続値で説明すると、交絡因子の発見も容易となるし、数学なんで、複数の研究間の結果の比較が容易になる。ただし、数学を用いるにあたっての問題点は、

・複数のモデル間の比較を行う場合、どれが真のモデルかを決定するのは方法はあるが困難
・どんなモデルでも構築可能だが、明確な理論を背景とした数理モデルでなければ受け入れられない

っていうところだろうか。

2009/10/06

限界効用(Marginal Utility)

限界効用とはある効用関数 U= u(x1,x2)において、x1が一単位(Δx1)増えた場合に得られるUの増加量(ΔU)を意味する。この際、x2の値は固定されており、財x1を微分したものが財x1の限界効用に当たる。

もう少しかみ砕いた説明を試みると

最も単純な2財モデルU= u(a;リンゴ,b;バナナ)を考える。
ある個人にとってリンゴ一個とバナナ3本が同じ価値であり(完全代替材とする)、予算(m)の範囲で最も自分が満足できる財:リンゴとバナナの組み合わせを購入する。

効用関数 は 1*a + 3*b = m

効用とは人がある財を消費した時に得られる満足度で、新たにリンゴ一個を得て得られる満足度は、
ΔU/Δa となる。

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最近JNSに掲載された論文で、限界効用を時間割引の手法で調べた論文が掲載されている。
Encoding of marginal utility across time in the human brain.
Pine A, Seymour B, Roiser JP, Bossaerts P, Friston KJ, Curran HV, Dolan RJ.
J Neurosci. 2009 Jul 29;29(30):9575-81.

残念ながら、私にはこれが限界効用を測定しているのかどうか、イマイチ良くわからない。わかる方がいれば是非教えてください。
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