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2010/01/31

数学の脳科学における有効性

今日、ボスと議論した話題

人の意志決定について脳の情報処理を理解する上で、計算理論に基づく研究は有効だけど、研究は必ず規範となる理論(Normative theory)からスタートすべき。理由は、

1.観察した現象を説明する計算理論は沢山あり、2.そのサブクラスも含めれば無数に可能。3、そのモデルが正しいと証明することは現実的に可能でない。

従って、規範となっている計算理論から出発して、そのサブモデルを議論していくことが重要だという思想。逆にいえば、何か適当なモデルから出発して、その周辺でサブモデルを議論しても、局所最適解を探していることになる。最も悪いのは、自分がなんとなく好きなモデルに後付けで色々付加して(ad hoc)、こんなによく現象を説明できるようになりましたよっていう研究だ。

ここで、生物学的要因が果たす制約条件は、あくまでも補足的なものと考えるのが良いという考え。制約を増やすことでモデルは絞り込まれるが、モデルの全ての仮定を生物学的要因で証明することはかなり難しい。


強化学習のTDモデルの成功を例にあげれば、
TDはモンテカルロ法という優れた規範理論に極めて近い計算過程であり、生理学の研究によりドーパミン細胞の発火頻度がその性質を備えていることが多数の研究により示されている。

経済学を例に挙げれば、
モデルは必ず効用理論からスタートしている。期待効用理論もプロスペクト理論も効用理論がもとになっている。


脳は計算回路なので、工学の得意な計算手順(algorithm)を備え持つモデルが重要。ミクロ経済学では計算を回路、手順として考えることはない。逆に不必要な要素を増やしたアルゴリズムは、その現象に対する説明力は上がっても規範から大きく外れてジャンクになってしまう。


脳研究がもっと進んで脳の計算基盤が明らかになればモデルはずっと絞り込まれるが、現段階ではその手法は意志決定の研究には望みが低い。ならば、やはり、シンプルで良くその計算の重要性が理解されている計算原理から始めるべきなのだろうか。

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