経済学の行動実験を行う上で最も基本となるのが、Incentive compatibility(誘因両立性)という概念である。ここでは、ミクロ経済学の個人の選考を測定する場合を例に説明します。
個人の選好を測る上で重要なことは、各個人が真の選考を示す実験条件になっているのかに、常に気をつける必要がある。つまり、真の選好を表明することで効用が最大化されなければならない。つまり、誘因両立性の制約が満たされている必要がある。
例を挙げると、
1.りんご一個買うのにいくら払いますか?と聞いた場合(willingness to pay (WTP))、ただ単に聞いただけでは、被験者はいくらの値段でも自由に述べることができる。これは、被験者が真の選考を表明することが、利得につながらないため。
2.実験条件の設定によって、ある特定の選択を行うことが効用の最大化に繋がる実験になっていると、被験者は真の選好を示すことが効用の最大化に繋がらなくなってしまう。つまり、こういう行動をすると、儲かるといった特定の解が存在するような場合。
言い換えると、自分の選好を表明するメリットが無い状況では、ちゃんと各人の選好は測れていない。真の選好を表明することが最適戦略(誘因両立性の制約を満たす)となっていることが必要。
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